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ジュラシックワールド
category: MOVIE-J
JUGEMテーマ:映画
小学生の時、ジュラシックパークを見て衝撃を受けた世代です。子ども心に、恐竜の存在の恐怖と、古代の生物を再現させるという科学技術は禁忌なのだということを実感させられたほど、衝撃的な作品でした。それ以降の2と3は、その恩恵を受けた作品という感じで、大して魅かれなかったのですが、今回はジュラシックパークを実現した世界だということで、満を持して見に行ってきました。

映画館で見るにふさわしい、ダイナミックさは本当に素晴らしかったです。恐竜も増え、その1つ1つが本当にリアルに再現されていることは最新の技術の賜物だと思いますし、パークの設備も、科学の粋を凝らした乗り物やサービスにあふれ、未来感が満載でした。

何より、海中生物のモササウルスを、USJのウォーターワールドに似せたエリアで展示しているところなんかは、圧巻でした。(このモササウルスが後2回出てくるとは想像だにしませんでしたが…。)現代の動物園や水族館で見られる、生き物とのふれあいコーナーに似せて、恐竜にまたがっている子どもや、恐竜に餌をやっている子どもなどの映像を見た時は、微笑ましいと同時にぞっとしましたね。自分たちがやっていることの恐ろしさ、危険性がにじみ出ている図とでもいうんでしょうか…。現代では、「安全な生物だから」やっているのでしょうが、このジュラシックの世界では、「危険性を人間がコントロールして安全を確保しているから」やっているわけですよね。大人はある程度知識があって、自分の責任でやればいいでしょうけど、知識のない子どもが無邪気に恐竜と戯れる様子は、恐怖以外の何物でもないです。本当に、映画後半に訪れる悲劇を思うと、ぞっとするシーンです。

今回の主人公は、2人の少年と、パークの管理者(科学者)である叔母さんクレア、そして元軍人のオーウェンの4人です。この人間関係が今回はあまり効果的に描かれていなかった気がするのが残念です。ま、ありていにいえば脚本が悪いということです。

2人の少年は、叔母さんの運営するジュラシックーワールドを訪ねるのですが、なぜか両親は一緒に来ません。どうも離婚寸前だとか、家族がうまくいっていないという設定がちらちら出るのですが、だから何?と言わんばかりに本編にからんできません。お兄ちゃんはジュラシックワールドより女の子に夢中みたいだし、弟は両親の離婚が心配だと泣きつつ恐竜に夢中だし、うーん、よく分からない。このパニックを乗り越えた後に、何か解決するのかといえば、大してそういう描写もなかったです。

叔母さんのクレアは、せっかく訪ねてきた甥っ子2人に構う暇もないくらい忙しく、接待は部下任せ。2人の年齢もすぐに言えないとオーウェンに批判される始末。このあたりは、こうした素晴らしい技術を生み出す科学者の、人間性を表す上で、必要かなと思いますし、ジュラシックパークのハモンド教授なんかを思い起こさせます。ハモンドは家族の接待を喜んでしてましたね。

彼女と恋愛がらみの元軍人オーウェンは、ラプトルの調教を手掛け、ラプトルを手なずけるところまできていました。クレアからするとガサツでとても付き合えないといった風のようですが、ジュラシックワールドが危機に陥ってからの、彼のカッコよさ!軍人は危機に直面すると強いのかもしれませんが、誰よりも責任感があり、誰よりも強く逞しい。とにかく最後まで彼の強さに魅かれていきます。少年2人があっさり信頼したように、彼となら生き残れるかも…と思います。

クレアとオーウェンは立場からしても対照的です。クレアは科学者として恐竜を見ますが、オーウェンは飼育者として恐竜を見ています。インドミナスレックスが脱走したと知った時、科学者たちは自分達のこれまでの巨額の投資を考え、睡眠銃で捕獲を図りますが、オーウェンは危機感の強さから銃殺を考えます。危機意識、対応の素早さが違うんですね。このオーウェンの軍人としての素養が、パークに起こる悲劇を予測させ、観客を恐怖に陥れていきます。

クレアとオーウェンの関係性はよかったと思うんですが、この2人の恋愛関係がひどかったですね。危機に陥る中で共に協力する2人が恋愛感情をもち、くっつくことはよくあることです。だから2人が結ばれるのは別にいいんですけど、その描写の加減を間違えると、この映画の良さを損なうと思うんです。この2人が熱いキスを交わしたのは、翼竜の脱走によりパークが大混乱に陥った時です。しかも、自分の部下の女性が、翼竜につかまり、水中に落とされ、何度も翼竜に水攻めにされた末、モササウルスに翼竜ごと喰われるっていう信じられないような現実を見た直後です。これには流石に唖然としました。少年2人も、「なんでキスしてるの!?」みたいに2人を見ていますが、キスしている場合じゃないんです!という場面なので、何とも気が抜けます。

ラプトルからトラックで逃走している時も、戦っているオーウェンのカッコよさに、少年2人が「カッコイイ!!」と言ってクレアがにんまり笑ったり。極めつけは、ラスト。パークの危機を乗り越え、負傷者が手当てを受けている場面。「これから私たちどうする?」とクレアが聞くと、「2人でいよう。生き残るために。」とオーウェンが返すところです。はああああああ???となりました(笑)クレアはこのパークの責任者なので、この場面で負傷者たちに混じっていることも、これからの未来を恋愛的に捉えているところも場違いな回答です。

「ジュラシックパーク」の世界では、恐竜の脱走によって、人間が古代の生物を再現させることの危険の大きさや、科学者のおごり、科学技術に頼りすぎた人間の愚かさなどが露呈され、夢のパークは実現しないというハモンドの哀愁漂うエンディングとなるわけです。そこには、科学が見せる未来の素晴らしさと同時に、人間が忘れてはいけない倫理観や危機意識などを提示するという、非常に素晴らしい対比があったわけです。

今回特に残念なのは、メッセージ性が薄かったこと。微妙なラブコメが入っていただけでなく、一番言いたいことがなんだったのかが良く分からないのです。今回はネドリーのような裏切り者はいませんが、影で結託していた科学者や、ラプトルを軍事的に利用とする別会社が乗り込んでくるなど、ジュラシックパークと似たような存在が出てきます。このあたりは、いつの時代も変わらないなあと思わせてくれるのですが、この存在を上手く使いきれていないんです。この悪役たちは、恐竜たちによってあっけなくせん滅されていきます。ただ、それだけなんですよね。恐竜を軍事的に利用するとどうなるかは、新しいテーマで、少しおおっと思ったのですが…ラプトルとインドミナスレックスが対話することができたことで、人間が飼い鳴らすことはできないという結末になります。でもラストにむけて、インドミナスレックスとTレックスが対峙する場面で、オーウェンを助けたりと、人間と通じあえたかのような描写もあり、ラプトルの存在意義がよく分からないんですね。結局ラプトルは恐竜でしかありえなかったのか、人間の飼いならせるものであったのか、ここいらも曖昧にしたので、よくなかったんですね。ダメならダメで、最後はオーウェンの敵になればよかったのに、ラプトルのブルーだけはオーウェンと心を通わせたかのような描写を入れるから、妙にジュラシックワールドの恐怖が半減してしまった。まるで手なずけた犬と会話でもしてるかのような絵は、あんまり見たくなかったかな…。

最後インドミナスレックスと戦えたのは、本来の恐竜のTレックスでした。これをクレアがパドックから引き出す時は、かなり恐怖が伝わってきてよかったです。人間が生み出したハイブリッド種と、自然界が生み出したオリジナル種の対決という構図は面白かったです。ただ、よく似すぎていて、結局どっちが勝ったのか分からなかったことや、ラプトルが交じっていてややこしかったこと、最終的にはモノサウルスが3度目の登場ということでちょっとくどかったかな。


伝わったのは、「人間は過ちを繰り返す」ということくらいで、何かしら新しい提示はなかったところがとても惜しいです。絵としてはぜひ劇場で見てほしいダイナミックさなのですが、メッセージの明確さという点では、ジュラシックパークを超えることはできていません。あらためて、ジュラシックパークの完成度の高さを感じる作品となってしまいました。

ジュラシックパークで見せた科学者の愚かな点を、ワールドではどのように乗り越えて開園に至ったのかということをきっちり描けていれば、また、悲劇は繰り返しますが、どのように乗り越えるかというところで、別に魅せ方があったのではないかと思うのです。どうせ作るのなら、脚本にもう一ひねりほしかったですね。勿体ない!の一言に尽きます。

面白いテーマだと思うので、数十年後に、スピルバーグではない製作・監督でリメイクしたら見てみたいと思います。
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